『軍曹の貧乏旅行』

寒さに震えた 北信州行  
 出発前夜、デイパックにウキウキしながらパッキング。嬉しくてたまらない。何度も地図を見ながら林道と、村と、温泉を確認する。今回もテントなしの露営とする。
 
1992.5.1〜5.5


 明るくなった朝5時出発。スキーのお決まりルートR1〜R52〜R20を走る。R20富士見町から八ヶ岳西側の鉢巻道路を選んだ。カラ松林の中を走る気持ち良い路である。そのままダートを走ってR299芹ヶ沢に出て白樺湖。リゾート施設の多い場所で僕にはあまり関係ない。

 ブランシュたかやまスキー場をパスして和田村に入る。ここで黒曜石を買うつもりでいたが、まだ店が営業しておらず断念する。小諸より浅間山の麓にある林道に入る予定でR18を折れたのだが、どこで間違ったのか高峯高原 車坂峠まで来てしまった。
 スカイラインのような気持ちの良いルートであったが残雪多し。峠より地蔵峠まで湯ノ丸林道があるのだが、アサマ2000スキー場のゲレンデの中で埋没していた。リフトにはスキーヤーが大勢乗っている。仕方なく田代湖に向かって高峰高原を下ったが、その道がダートだったので嬉しかった。四阿山方面の展望大変良し。峠からは小諸や軽井沢の盆地が見渡す事が出来る。


 菅平に上がり以前みんなで走った、菅の沢林道(ダート8q)で真田町に下る。新地蔵峠から林道御林線・東豊線を走る。約25qのダートで、山砂・ガレ場・崖崩れ・滝・展望等、あらゆるシチュエーションが楽しめて走りごたえもある。千曲川の流れを見ながら走る。


 
 四万温泉 日向見薬師堂 室町時代の建立 
 古い温泉の近くには薬師堂が建てられている



 須坂より高山村 山田温泉に向かう頃には日が陰りはじめ、これから山中に向かう心境としてはチョット寂しくなってくる。
山田温泉の共同浴場 大湯に浸かった(\200)地元のおじさんとしばらく話しをする。
大湯の前にある手打ちソバ屋で、月見そばとお酒を一本頼んだ。
ヒジョーに愛想の悪いおばさんで、「はいっ、おまっとさん」 ドンッとコップを置くは、
「はいっ 何頼む!?」「はいよっ」と愛想笑いの一つも出さずにバスの利いた声で店内を立ち回っていた。

 この辺り雪がまだ多く大変寒い。
どこへ寝ちゃおうかウロウロしていたら、例の如くイイ塩梅のバス停を発見。それも引き戸付きで木製ベンチもあり最高である。
最終バスがすでに来ないことを確認して、20:30に今夜の宿とさせて貰った。
バス停は七味温泉バス停。

寝袋だけの寒さしみ入る今宵に、すぐ下に流れる松川のザワザワというせせらぎが一層清涼感を際立たせた。
寒くて何度も夜中に目が覚め、寝返りを打ちながら朝がやってくるのを待った。



七味温泉バス停 一晩の宿を取らせて頂きました
大変寒い夜で朝が待ち遠しかった


 朝5:00頃寝袋より出る。ベリー寒い。メロンパンと牛乳の朝飯を取る。さむい・・・・。
今8:00、湯沢林道にいる。残雪いと多し。手無峠まであと少しであるがコリャ無理だ。
5月でも冬である。残念ながら退却する。途中ニホンカモシカをたくさん見かけた。
僕の方をじっと見ているのでエンジンを止め、ヘルメットを脱いで手を振ったり投げキッスをしたり、
ピースサインをしたりして彼我の距離を次第に縮め、友好親善ムードを高めて撫で撫でを試みたが、
あと少し・・・・というところで「ばーか」と言ったような顔をして急峻な崖を降りていってしまった。
オシイ・・・・・・・・

本日は天気がよろしく気持ちもよろし。さぁて来た道を下りますかね。 


 本日の昼食は金倉林道途中で見つけた、見晴らしの良い空き地で食べた。
素晴らしい展望が開け、なおかつ正午の陽ざしが暖かい。メニューはフランスパンとスジャータのレトルトカレー。
レトルトカレーは冷たいまま、パックから直接口で飲む。美しい景色が最高のおかずだ。

ふきのとうが眠そうな顔をひょっこり出していた。

ほーほけきょ
 鶯だ 春ですね。

 結局この林道もパス出来ずに、来た道を引き返すハメに。雪解け水でグチャグチャの路面で、ブーツの中も水浸し。
雨のエンデューロをやってるみたいだ。もうヤケクソ!引き返しの連続で疲れ、日だまりの道の真ん中で昼寝した。


 中野からR292で渋温泉へ。そこから金倉林道へ突入したが、やはり残雪大変厳しく無念の敗退。
あまり走りたくない奥滋賀有料道路で草津温泉に抜けた。
熊ノ湯などでは板を担いで、ガチャガチャ道路を歩くスキーヤーの横を微速前進した。 
林道を走って花敷温泉へ。一度行ってみたかった野反湖へ行ってみた。
標高1500mにあるこの湖(人造湖)は美しい湖であった。水面は半分ほど凍っている。
奥にはキャンプ場もある。ここより切秋方面に千沢となって日本海に流れていく。雄国沼に雰囲気が似ている。 

雪も解け花が咲く頃にまた訪れてみたい。



野反湖  美しい湖ですが人造湖です

 花敷でソバ屋に入る。おじーさん一人で切り盛りしておられ、カツ丼を頼むと
「終わったよ」
じゃ親子丼・・・・
「できねぇよ」
・・・・・・うぅぅぅぅ
他人丼が出来るというので頼んだ。
「あんた どっから来た」
というので、遠江だと言うと
「森の石松だね、昔は東海道をずっと歩いたよ」
「ワシは41年産まれだ」

というので「へぇ、じゃ僕と同じで26歳か」と言うと
「明治41年だ」
となる。
 昔カムチャッカや支那、満州で悪いことをいっぱいしたそうで、毛沢東や満鉄、露助の話をたくさんしてくれました。
尻焼温泉は川底から湯が沸いている温泉で、川一帯が広い露天風呂になっている。
大きな石を見つけその上に寝袋を広げたのは20:00であった。横は湯気を立てる温泉だ。
素晴らしい環境であると思ったのだが、夜中でも次から次へと大勢の人が入ってきて、賑やかくてナカナカ眠れない。
仕方なく2:30頃から4:00頃までまた湯に浸かっていた。5:00に目覚めたらまだ大勢入っていた。

バイクで一分の花敷温泉には、小さな露天風呂がありここでも朝風呂の贅沢をした。
この辺りの雰囲気大変よろしい。




敷温泉   大変趣のある温泉でお気に入りになりました
ここの他に公衆浴場もあります

 野反湖に至る県道の途中を曲がると万沢林道である。
熊笹に覆われた道で、なおかつ四方の山々が見渡せる気持ちの良い道なのであるが、敷き詰められた深い砂利が誠に走りづらい。
四万温泉にでて赤沢林道にチャレンジの予定が、ダム建設工事のため通行止め。
四万川をずっと横に見ながら走ってきたが、見事な清流で川遊びをするには最高である。
こんな美しい川にダムを建設するとは一体何を考えているのやら。ダムが完成してしまうと、
以前の美しい四万川を取り戻すことが出来なくなる事を地元の人達は知っているのだろうか。
山から海まで一つの生態系を太古の昔から保ってきたこの川は、今、破壊されている。

 伊香保温泉にも行ってみた。狭い道路と急坂で人も車も多い。
歓楽温泉街で情も何も無い。
榛名山にも行った。悪い意味での、というより日本の観光地の悪い例がこの姿だ。
ゴミのような看板、ゴミのような土産物屋、屋台、ホテル。この景勝地もコンビニと同じである。
 
 逃げるように榛名山を下り、再び鳥居峠〜菅平を経て今、戸隠の鏡湖にいる。
ゴミもなく静かで、キャッチボールをする親子、写生をする若い女性、釣りを楽しむ人・・・・・みんなのんびりと過ごしている。
ゴミのような売店、ホテルも無くて静かで気分も良い。

走り疲れて陽だまりの中、湖のほとりで昼寝した。 気分良し。

                            
                                           


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