『軍曹のちょこっとコラム』

          予想される東海地震   

                              平成13年度消防団員指導者研修会   2002.1.18

清水市の静岡県消防学校へ行って来ました。県下各消防団から一名づつ、総勢75名で講義、実技訓練を一日行ったのです。講義は予想される東海地震についての内容がほとんどでした。その中で富士常葉大学環境防災学部教授の小村隆志氏(38)による講義は、プロジェクターを駆使し声も大きくテンポも良く、大変好感を持つことが出来た。ちなみに前職が防衛庁防衛研究所研究員であるらしく、軍事マニアの僕としてはそちらにも非情に大きな興味があったのだが、本日は議題が防衛ではなく防災なので残念・・・・。今日聴いてきたこと、感じたことを簡単に書き留めたいと思います。

 



東海地震は世界中が注目している地震である!
20年も前から(僕が小学校の時には学校に防災ずきんを持っていった)発生が叫ばれ、県としても対策に多大な時間と経費を掛けてきた。その結果地震の発生を予知する事が可能な、貴重な地震(?)であるそうなのだ。地震が発生する前から名前の付けられている地震は歴史上、東海地震だけなのだ。実際に予知できれば、被害はかなり防ぐことが出来るだろう。但し、地震予知は直前短期予知であり、発生数時間から数十時間であるらしい。“地震先進国静岡県”人の意地で、被害を最小限にくい止めようではありませんか。


地震発生の時期が迫っている!
データからすると2004年前後が怪しいと言うことである。1944年の東南海地震、1946年の南海地震の時にも、発生数年前に地震活動に明瞭な静穏期があり、再び地震活動が増加した後に大地震が発生している。最近の状況が、その当時と大変似ているそうだ。’99頃から地震(M4以上)が発生せず(静穏期)、昨年から静岡県中部域を震源とした地震が何度か発生している。その震源域も深さ10〜30qと、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートの固着域付近であることも、非情に不気味なのである。 最近では御前崎の地盤沈下も停滞しているが、それは固着域の緩みを意味しているらしい。緩みが出てきたと言うことは、負担の掛かっているプレートがはじける前兆でもあるのだ。

阪神大震災のデータからの教訓
 
発生から7年が経った阪神大震災は、多くの貴重なデータを残した。まず死者の88%が家屋倒壊による、圧死、窒息死であるというのだ。と言うことは家屋倒壊を防ぐことが出来れば、死者の数は極端に減らすことが出来る事になる。しかし、最近の建築物なら倒壊する事は少ないらしいが、昭和55年以前の建物は規制が甘くて倒壊する危険が大きい。それに対して県では、一戸あたり30万円の対策補助金の様な物を出そうと計画していると言うことだ。あと怪我をした人の50%が、家具の転倒によるものである。その対策は誰にでもすぐ出来る。ホームセンターで転倒防止器具などをたくさん売っている。僕が思うにはタンスや冷蔵庫と、天井との隙間を無くせば倒れることは無いと思う。隙間にスッポリ入る収納家具を、手作りしてみるのも良いだろう。大きな家具が倒れては、ケガをするだけでなく、お年寄りや小さな子供にとっては逃げ道を塞ぐ大きな障害物となってしまうだろう。阪神大震災では津波が発生しなかったが、東海地震では津波による被害も大きくなるだろう。これから新築されるようなお宅は、基礎や建て面を高くした方がよいでしょう。そういえば隣のミツル君家も、最近立て替えたのだが「なんでこんなに高いの?」とビックリするほど高くしてあった。ちゃんとKYされていたのだな。
 もう一つ注目したいのが、救助された人の約80%が近所の人や家族の救助活動によるものであったことだ。消防であっても救急車がそんなにたくさんある訳じゃないし、自衛隊に至っては発生後何時間で我が家に来てくれるか・・・・。自衛隊の組織と機械力は大きな戦力であることは間違いないが。 そこでやはり普段からの付き合いが大切になる。隣の家のおばあさんは、あそこの部屋にいつも居る・・・・、あの家の家族構成は・・・・・・と田舎の近所同士なら大抵知っているだろう。救援
隊が来る前に、近所や町内会でのそれが大きな救助力となる。
 
消防学校教官による実技訓練
 
三角巾の使い方、ロープの結束、要救護者の搬送方法などを訓練した。さすが消防の教官だけあって、声も大きくて動きも無駄が無く、きびきびした態度に思わず惚れ込みました(笑)。アウトドア大好きの僕としては、ロープの結束は大変興味があるのです。8の字結び(フリークライミングでも使う)、より結び、引き綱結び、本結び(簡単に解ける)など、九つの結束方法を教えて頂いた。どれも結びやすくて強度もあって、解きやすい。ロープの使い方は知っていて損はないからなぁ。1本のロープがあっても、何も知らない人では綱引きしかできないけど、知っている人は縛る、引っ張る、吊す、引っかける、締める・・・といろんな使い方が出来る。何年も前にロープ結束教本を買って、いろいろ覚えたんだけど普段そんなに使わないので、ナカナカ身に付かないのだ。今日の9パターンは反復練習して体で覚えたいと思います(知ってるとカッコイイからネ!)。三角巾を地面に付けずに、八折りにする方法はカッコイイ!家に帰って何度も練習した。
知っていて損はないですからね!


その他
 
役場の防災担当のMクンが言うには、わが小笠町では地震予知が数時間前に出来れば、死傷者は極少なくなるだろうと言っていた。辺りは田圃ばかりだから、とりあえず家から出て田圃にいれば、家屋倒壊による被害は殆どないでしょう。ただ家が倒壊してはヤッパリ辛い。大きな財産だから・・・。その為には耐震対策を打つしかない。もしくは最初から諦めるか・・。携帯電話も警戒警報が出た瞬間に使えなくなるので(混み合って)、承知しておくべきでしょう。ポケベルは使えるらしい(契約者が少ないので)。NTTの171もあるけど、地震発生と同時に使える訳ではないので気を付けましょう。自動車のシガーライターから充電出来るヤツなんか良いかも・・・。幸いに僕はキャンプ大好きでテント、寝袋などのアウトドアグッズと、貧乏野宿のノウハウがある。それが少しは役立つであろうと思っている(?)

 

まとめ
 
自分の身は自分で守ろう!
地震後の対策も必要であるが、今から出来る地震への準備、心構えが大切であると感じた。その準備には金が掛かるのが、キツイけどね。でも非常食・飲料の準備、家具の転倒防止、地震後の生活のイメージトレーニングは今すぐ、誰にでも出来るはずだ。日々の備えが大切である。万全の体制を取っていれば(万全は難しいが)、怖い物はない(そんなことは無いか)

 
        
          
 “来るなら来て見ろ赤とんぼ”   


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